現実逃避の旅行からもどり、気持ちもようやく落ち着いてさぁどう治療して行こうかという段階になって予想外に面倒だったのは、周囲へのカミングアウトの難しさでした。
SNSでカミングアウト
イマドキは便利なSNSがあるので、ほんの数分でカンタンに友人知人に告白することもできます。ボクも、Facebookでカミングアウトしようかと一瞬アタマをよぎりました。SNSなら何度も同じ話をしなくても済むし、自分の言葉でみんなに伝えることができます。もしかしたらSNSの知人を通じて病院や治療法など、有益な情報を得られるかもしれないとも。でも、結果デメリットの大きさに耐えられないだろうなと思い、踏みとどまりました。
想像するだけで「これはストレス源になる」と思ったいちばんのデメリットは、メッセージやコメントへの返信です。一日鳴りつづけるスマホを想像するだけでゾッとします。今回話を聞いたどのドクターも、「ストレスはがん治療の大敵」と言っていたことを思い出し、SNSでのカミングアウトはやめてひっそりとこの休眠ブログに日記を綴ることにしました。
ということで、顔を合わせた人には折を見て自分で話すことにしたわけですが、ここでまた2つほどやっかいなことが。
がん患者にとって苦痛な話題
まず一つ目は、何度も同じ話を繰り返さなきゃいけないということです。
同じ話をするのが面倒だとか、そんな手抜きのハナシじゃないんですよ。カミングアウトすれば、かならず「なんで? 部位は? 治療は? 痛みはあるの? 治るの? 治らないの? 手術はするの? 抗がん剤は? 放射線治療は? …」と、質問攻めに合います。もちろんみんな心配してくれているからこその質問攻めだということも承知の上なのでちゃんと答えるわけですが、余命宣告を受けているがん患者にとって、自分の病気の詳細とその顛末を繰り返し繰り返し語ることはなかなかつらいことだったりするんです。死の可能性を宣告された日から今日までの経緯なんて、前向きな気持ちを維持するためにいちばん忘れていたいことなわけで。
もしみなさんが友人からがんのカミングアウトを受けることがあったら、何度も話したであろう病気のことは根掘り葉掘り聞かずに、「わかった。何かできることはある? できる限りのことは手伝うよ!」と力強く言ってあげて下さい。
両親へのカミングアウト
もうひとつは、伝えなきゃいけない大事な人ほど伝えるのが難しいということ。実際、告知を受けて一ヶ月経つのに、まだ実の親には話せていません。だって親より先に死ぬかもしれないなんて、そんな親不孝なハナシないでしょ。
これまで、髪を何色にしようが、ピアスをいくつ開けようが、タトゥーを入れようが「自分のカラダだから」と平気でしたが、はじめて心の底から反省しました。せっかく健康なカラダで産んでくれたのにこんなことになってしまって本当にごめんなさいと。
そろそろちゃんと話さなきゃと思いつつ、なかなか言葉が見つからない今日このごろです。
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